C’est une éponge
「これはスポンジです」
ずっと肉体、魂、感情、三者の関連性について、いろいろ思案をめぐらしたが、どう探求しても、答え探しは思ったより遥かに困難で、よい知恵は浮かんで来なかった。心の内側を明らかにするため、その「ぼんやり」の正体を具現化するために、色んな方法を試し、撮影にたどり着いた。激しい素材選びを経て、柔らかいスポンジを使って肉体を作ることに決めた。
カシャンとシャッターの音が鳴り響き、映画の中の忍者のように、すらりと刀を引き抜き、パチリと鞘に収めた瞬間、すべて定格させた。もともとぐったりしていたスポンジは、生き生きと変わっていた。隙間の間に光が行き交う、まるで血管の中に流れている血液のように……しかしこれはただの肉体だ、豚肉も、牛肉も、人間の肉も大体同じものだ、うまいかどうかの問題だ。
どうしたらスポンジを単にスポンジだけではなく、自分の感情をすべて注ぎ込んだ肉体になるのだろうか、そう試行錯誤しながらいろんな方法を試した。たくさん失敗して、人に魂を持つには、感情を持たないとできないことをより深く理解できた。あるいは自分が生きている世界と共感( Empathy / エンパシー)がなければ、魂を持つことができないことを。何日もかけて、じっくりと考えた上、今回の作品を制作した。人間という生き物は、魂を持っているかどうかはまだわからないが、 人間は「感情」を確かに持っているということだ。
私の作品の「魂」の有無、その決定権を皆さんに渡します。一枚一枚の作品に、一人一人違う考えを持っていると思いますが、皆さんから「魂」を与えさせて欲しい。例えば、愛しい人とセックスしてる時、一瞬相手の項を見た時、両足の隙間の光景を見た時などの、、人それぞれの思い出があるので、それぞれ違うものを感じる。もしその思い出を作品の中に持ち込めば、また違う体験を味わえるかもしれない……
